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Vol.40 Takatoshi Machiyama Republic of Belarus

今回のダンサーの宝箱はベラルーシ国立ボリショイ劇場バレエ団で活躍する待山貴俊さんです。

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約110人のダンサーが所属しているというベラルーシ国立ボリショイ劇場バレエ団には3名の日本人ダンサーがいるそうです。
(1名は研修生)



どのようなバレエ団でしょうか?

主にクラシックバレエがメインで、ベラルーシのオリジナルのバレエや、旧ソ連的なスタイルの全幕バレエもあります。最近はコンテンポラリーのレパートリーも少しずつですが、増えてきていてかなり多くのレパートリーがあると思います。


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一日のスケジュールを教えてください。

朝の10時から約1時間のクラスを受けます。その後、公演がある日は11時から13時まで全体リハーサル、その後自由時間で19時から公演です。日曜日だけは18時からの公演です。

公演がない日は、朝のクラスの後、リハーサルスケジュールに書かれた自分のダンサーとしてのリハーサルをしたり、アシスタントバレエマスターとして指導する側のリハーサルをこなします。



どのようにして今のお仕事の夢をつかみましたか?

今の仕事はワガノワに留学している頃に、日本で知り合ったベラルーシ人ダンサーに、まだ仕事が決まっていないのであれば、一度クラスを受けに来てみないかと声をかけてもらい、ベラルーシにクラスを受けに行って、そこで芸術監督からソリストでと誘っていただきました。


それはすごいですね!10代のころのお話ですよね?

今のカンパニーに入って何年たちますか?

19歳の頃の話しです。今6年目のシーズンを過ごしています!


オーディションはありましたか?

一般オーディションのようなものはなく、ここの学校の生徒は卒業試験がオーディションのようなもので、それ以外はプライベートオーディションのような感じで、自分で連絡を取って受けに来ています。



ワガノワに留学されていたのですね。

ワガノワ・バレエ・アカデミーに3年間留学していました。



ワガノワに留学するきっかけは何ですか?

ワガノワに行った理由は、ミハイル・バリシニコフのドン・キホーテのDVDを見たのがきっかけです。他のすごいダンサーも色々見ましたが、バリシニコフほど洗練された動き、音楽性、芸術性、存在感…色々と他のダンサーとは次元の違うレベル人だと思い、彼が学んだ学校で正しいバレエを学びたいと思い、行く事にしました。


バリシニコフのドンキ!101.png162.png私も何度見たかわかりません。

ちなみに、バリシニコフとフェリが出ているダンサーという映画があったのですが、それが私がバレエを始めたきっかけです!笑

待山さんのバレエを始めた切ったけは何ですか?男性ダンサーの場合は特に聞きたくなります。

バレエを始めたのは、僕は覚えていないのですが、お姉ちゃんのバレエについて行って、自分もしたいと親にお願いしたみたいです!全く覚えてないんですがw


ご自身の成功の鍵はなんだったと思いますか?

まだまだ成功したとは思っていないので、なんとも言えないのですが、僕の場合は色々な方との出会いや、僕が卒業したタイミングでうちの劇場がたまたま僕のようなダンサーを探していたという幸運が、色々重なっていたので、僕は運に恵まれている方だと思います。


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自分の何が今のカンパニーにマッチしたのだと思いますか?

この劇場ですぐに受け入れられたと言う感じではなく、最初は受け入れられなかった感じがすごくありました。日本人どころか外人がいないカンパニーなので、よそ者と言う感じは正直すごくありました。最初の12シーズンくらいは、誰かが抜けたらそこにキャスティングされるくらいでした。その状況がすごく悔しくて、とにかく全ての役の振り付けを覚えて、何かあればチャンスが自分に来るようにアピールしたりしていました。評価が変わり出したのは、カンパニーがツアーに行く寸前に怪我人が出て、その人の代わりにツアーに行く事になり、またツアー中に怪我人が続出して、踊ったことのない役を色々とこなしたりしました。うちの劇場だけかもしれないのですが、とにかくよく怪我人が出て、変わりをできる人がなかなか見つからないと言う状況がよくあり、僕としては聞こえは悪いかもしれないけど、それを利用して、僕は怪我しないで、とにかく多く役を演じれるオールラウンドなアーティストになろうと考えました。マッチしたと言うよりマッチさせたと言うような感じかなとおもいます。



ロシアの学校に留学された方はみなロシアに魅せられて、その後の進路もロシア一本という方が多いように思います。なぜなんでしょう。

ヨーロッパに留学している方々は、その後の進路がほんとにばらばらなんですよね。オーディションもあちこち行かれていますし。待山さんもやはり働くならロシア!ですか?

僕は全くそう言うこだわりはありません。むしろ僕も嫁も欧米や北米にチャレンジしたいと思っています!もちろんロシアスタイルの伝統あるバレエ、キャラクター系のバレエを愛しています。しかしガラやツアーなどで、ヨーロッパやアメリカをはじめ、世界中のダンサー達と関わるたびに、いつも彼らの自分にはない自由な発想や感覚、仕事だけの話ではなく、プライベートなところも含めて色々いい意味で驚かされます。自分が見たことがない世界が、まだまだいっぱいあるでしょうし、もっと色んなものを見たいし、色んな事に挑戦したいと思っています。いつになるかはわからないけど、すごく興味を持っています。


奥様はロシアの方ですか?

嫁はウクライナ人で、うちの劇場のプリマです。


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日本で踊ることと海外で踊ることの違いは何だと思いますか?

やはり公演回数かなと思います。うちの劇場では年間に100公演以上あり、僕はその全ての公演に出ているわけではありませんが、それ以外にも劇場のツアーや、ゲスティング、ガラコンサート等を含めればかなり多くの舞台に立たせてもらえています。そこが海外で踊ることの最大のメリットの一つと思います。



ダンサーとして思い出に残っている仕事は何ですか?

そうですね。もちろん色々あるのですが、去年の夏にプロになってから初めて日本で踊る機会をいただけ、新国立劇場で踊らせてもらえたのはすごく思い出に残るものでした。もちろん日本で踊りたいという気持ちが強かったのもありますが、留学する前に日本で最後に踊って以降、生で僕の踊りを見たことがなかった家族に、やっと見てもらえたというのですごく思い出に残るものになりました!!

またつい最近のことなのですが、くるみ割り人形で王子を踊らせてもらったことです。僕は背も大きく無いし、東洋人ですし、僕の中でうちの劇場で王子を踊ることは無いと思っていたため、監督からキャスティングを告げられた時は本当に驚きました。

今まで踊って来たどの踊りとも違う、動きや立ち姿で王子の品格を表現しないといけなく、またデュエットも難しいものが多く、僕のキャリアの中では1番難しい役でしたが、そのプロセスの中でまた新しい発想や、仕事に対する新しいアプローチの仕方などを見つけることができ、とても思い出に残る仕事になりました。



大切にしている宝物は何ですか?

学生の時に、僕の恩師“ボリス・ヤコブリェヴィチ・ブリグワーゼ”にもらったお守りがあります。なんのお守りかはよく知りませんが、僕の中で勝手に守り神か何かのお守りとしていつも、仕事の時は持ち歩いています。

何度か濡れてしまったりして、汚くなってしまっているのですが、恩師が亡くなる前に最後に頂いたもので、彼がいつも見守ってくれているような気がし、舞台に出る時、踊りの調子が悪かろうが、体調が悪かろうが、リハーサルが少なくて不安であろうが、どんな時も勇気をもらえます!



待山さんの次の夢は何ですか?

難しいですねw色々ありますが、大きな夢では、もっと色々な人や国、劇場で見たいと思ってもらえるような、唯一無二の魅力のあるダンサーになりたいと言うことです。それはまだまだ発展途上なので次と言うのはまだ浮かびません。バレエ以外の夢だとしたら、車の免許を取りたいとか、いつかロンドンに行ってファンのアーセナル(ロンドンを拠点にするフットボールクラブ)の試合を見に行ったり、モナコにF1を見に行きたいとかですかね!!


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皆さんにお知らせしたいことがあればぜひ!

この夏、大阪でいくつかの舞台に出させていただきます。

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僕の姉がやっている“バレエスクール・エクラ”という小さなバレエスタジオの初めての発表会があり、それに出演します。僕の友達の国内外で活躍するダンサー達にも協力してもらって、子供に夢を見てもらえるような舞台にしたいと思っています。

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僕がバレエを始め、留学するまでの間8年間お世話になった野間バレエ団の50周年記念公演“ドン・キホーテ”にエスパーダ役で9年ぶりに出演させて頂きます。

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MRB バレエスーパーガラ 2017で法村珠里さんと海賊の一幕より“パ・ド・スクリャフ”を踊らせてもらいます。

大阪!私大阪出身なんです笑101.png

野間バレエ、MRB、法村珠里さん、聞きなじみのありすぎるお名前ばかりです。私も夏に帰国するのでぜひ見に行きたいです!162.png



たくさんお話を聞かせていただきありがとうございました!

次回のダンサーの宝箱のバトンを受け取ってくださるのはどなたでしょうか?

次のバトンはジョージア国立バレエで活躍する、高野陽年にバトンを渡したいと思います。彼とはワガノワ留学時代に3年間苦楽を共にした友であり、最も尊敬するダンサーの一人です。


楽しみです!169.png169.png



というわけで、次回のダンサーの宝箱はジョージア国立バレエ高野陽年さんです!

お楽しみに!!



by Dancerstakarabako | 2017-06-01 07:41